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- G.A., シニアエディター

2000年に創設されたビル&メリンダ・ゲイツ財団ベンチャー・フィランソロピーを先導しています。同財団は大規模な寄付に支えられ、伝染病の根絶から世界の最貧国における栄養状況改善まで、世界規模の深刻な課題への取り組みに関与しています。 開発途上国の「現場での」プログラムに加え、同財団は一流大学で実施されている多様な科学研究にも助成しています。この研究成果を資金不足に直面する途上国の研究者を含め誰もが利用できるようにするため、同財団は厳格なオープンアクセスポリシーを制定しました。

オープンアクセスジャーナルで研究成果を発表するよう研究者に求めることは重要で進歩的な一歩とみられていますが、その一方、この要求により同財団から助成を受けた研究が投稿され得るジャーナルが制限されることは、2015年1月1日のポリシー制定時から明白でした。つまり、このポリシーは「サイエンス」や「ネイチャー」などの一流ジャーナルへの投稿を禁ずるものだったのです。

幸い2017年2月に、同財団とアメリカ科学振興協会(「サイエンス」系列のジャーナルの出版社)は、同財団から助成を受けた研究を、従来の購読料を課す形式ではなく完全なオープンアクセス形式で「サイエンス」系列のジャーナルに発表できるようにする合意に至りました。また、重要なことに、この合意は一定期間分の購読料を支払った人だけがアクセスできる公開猶予期間を一切含みません。

オープンアクセスと商業出版はしばしば対立するものとみられますが、どちらも研究成果の普及を目的としていることには変わりありません。この合意が示すように、開発途上国の数十万もの命を救い得る研究成果を、最も必要としている科学者がすぐに利用できるようにするため、両モデルの支持者は前向きに交渉する必要があると言えるでしょう。

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