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- G.A., シニアエディター

2016年10月にWired誌に掲載されたジム・コズベック氏による論説では、マーク・ザッカーバーグ氏ラリー・エリソン氏らテクノロジー分野の億万長者による研究費助成が最近活発であることについて、課題を分析しています。

一般に、科学にとって研究費は多いに越したことはないと考えられています。大規模な資金を獲得できる機会が増すほど、より多くの科学者が研究を実施でき、潜在的に価値のあるデータがより多く生まれるためです。

ところがコズベック氏は、研究成果がときに新薬、分析技術、装置の特許につながり、特許権者に数百万ドルもの利益をもたらす場合があることを指摘しています。そのため、公的研究機関に勤める研究者が民間または営利目的の助成を受ける場合、摩擦が生じる可能性があります。このようなケースでは、研究自体は民間の助成を受ける一方、研究を実施するための設備(研究室の所在地、使用する機器、研究者自身の知識や能力)は、公的資金で建てられ、賄われています。そのため、研究から生じる金銭的利益をどこに分配するかを決めるのが困難になることがあります。

研究成果により利益を得る可能性のある機関からの研究助成を禁ずることは、間違いなく科学にとって不利益となるでしょう。しかし、コズベック氏が指摘するように、研究が公的・民間の両資金源から助成を受ける場合、透明性を高めることを奨励する必要があるかもしれません。さらに、民間の助成を受ける科学者は公的助成金の受領を自主的に辞退するよう求めることも必要かもしれません。それまで公的助成金を受けることのできなかった研究者に獲得の機会を提供するためです。

公的・民間機関がこの摩擦にどのような対策を講じようと、民間の大富豪からの大規模な助成金提供をメディアが報じた際には、これらの問題に留意することが重要です。