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- G.A., シニアエディター

コロラド大学デンバー校の学術図書館員であるジェフリー・ビール氏による取組みのおかげで、研究者たちはいわゆる「プレデター」ジャーナル(predatory journals)と呼ばれるジャーナルの存在を徐々に知り始めています。「プレデター」ジャーナルとは、研究者に雑誌掲載料を負担させる一方で、学術出版のための一般的な手続きや倫理ガイドラインを遵守しないものを指します。 ビール氏は「プレデター」出版社および「プレデター」ジャーナルのリストを作成・更新しており、研究成果を投稿するジャーナルは慎重に選ぶよう研究者たちに呼びかけています。

最近までは、研究者や学術出版の真摯さを守るために対策を講じているのはビール氏のような関心を持った個人に限られているように見えました。しかし2016年8月、アメリカ連邦取引委員会は「プレデター」出版社について研究者に対する警告を発表するとともに、出版手続きや掲載料について研究者を欺いたとしてOMICSグループに対して訴訟を起こしました

オンラインおよびオープンアクセスのジャーナルが急速に増加したことにより、一部の悪辣な個人が問題のあるジャーナルや出版社を設立するようになりました。彼らはこれまでほとんど規制のない中で運営することができていましたが、OMICSグループに対する訴訟は連邦取引委員会が消費者保護において研究者の利益の擁護に焦点を向けたことを示しています。

連邦取引委員会の訴訟が最終的にどのような結果を招くかは現時点ではまだ分かりません。しかし、主要な規制機関が「プレデター」ジャーナルの問題に注目していることは、世界中の研究者たちにとってはありがたいことでしょう。「プレデター」ジャーナルの欠点への対応を通じて、連邦取引委員会は学術出版を研究成果の保存や発信においてより効果的なものに発展させられるかもしれません。