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– G.A., シニアエディター

ジカウイルスのニュースは今も連日、世界中で報道されています。多くの研究者がこの危険な病原体の解析を行い、先天性異常や発達障害の出現との因果関係を調査しています。

ジカウイルスおよびジカウイルスが持ち得る影響に世界の関心が集まっていることから、米国のある研究チームは新たな試みとして、実験データをリアルタイムにオンラインで公開することにしました。 デビッド・オコナー教授が率いるウィスコンシン大学エイズワクチン研究所 (AVRL) の研究グループは、アカゲザルにジカウイルスを感染させて、霊長類に対するウイルスの影響を調べています。現在行っている実験のひとつでは、妊娠したサルをジカウイルスに感染させて、発達中の胎児の脳にどのような影響が現れるかを観察しています。オンラインで公開されるのは数値データと胎児の超音波画像で、これらは定期的に更新される予定です。

ジカウイルスによるパンデミックの脅威は増大しています。AVRLの研究者は、収集した実験データを直ちに世界中の科学者が自由に使えるようにすることで、この病原体の解明と蔓延を防ぐ対策のスピードアップが可能になると期待しています。また、動物実験の倫理的問題にも配慮しており、リアルタイムで研究内容を公表し、研究者間で情報共有を図れば、重複する実験を省くことができ、犠牲になる動物の数を減らせると考えています。

すべての研究がリアルタイムのデータ共有に適しているわけではありません。それでも、インターネットのスピードと広がりを活用して、人類を脅威から守るというアイデアは斬新な取り組みと言えるでしょう。