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– K.N., シニアトランスレーター

オックスフォード英語辞典が2015年のワード・オブ・ザ・イヤー(「今年の単語」)にを選出したことに、一定の驚きと批判が起こりました。 なぜなら、多くの人が「今年の単語」とはまさしく単語でなければならないと考えたからです。このニュースを読んだ日本人の方々には、驚く理由がもう一つあるかもしれません。それは、オックスフォード英語辞典と英語メディアが、このようなピクトグラムを指して「emoji(絵文字)」という言葉を使ったことです。オックスフォード英語辞典では、「emoji」は「電子コミュニケーションにおいて考えや感情などを表すために用いられる小さなデジタル画像またはアイコン」と定義されています。

いわゆる借用語とは、ある言語から別の言語へとたえず取り入れられているものであり、日本語から英語への借用も例外ではありません。「bonsai(盆栽)」や「tycoon(大君)」といった長い歴史を持つ単語から、比較的最近辞書に登録された「umami(うま味)」や「sudoku(数独)」まで、かつて日本語でしか使われていなかった多くの言葉が英語の中に取り込まれています。グローバル化が進み、ソーシャルメディアが拡大する中、「emoji」もまた英語辞書に収録されたのは驚くにはあたらないと言えるでしょう。

今日の社会で広く利用され、絵文字が多く使われるプラットフォームであるフェイスブックとツイッターも、わずか10年前には私たちの日常生活の一部ではなく、「emoji」という言葉も日本以外ではほとんど知られていませんでした。この単語の使用頻度は2015年に3倍以上に急増し、ある言葉が日常語になる速さを浮き彫りにすると同時に、言葉というものが流動性やたえず移り変わる性質を持っていることを私たちに再認識させてくれました。今後、他にどのような日本語と、それに関連する日本文化の要素が英語に入っていくのか、興味深いところです。