特集記事


– G.A., シニアエディター

学術誌の数は増加の一途を辿り、一部の名高いジャーナルはますます高額の購読料を課すようになっています。これは、限られた予算内で知へのアクセスを提供する立場にある大学図書館にとって大きな負担です。オープンアクセス出版の台頭により学術機関の附属図書館が抱える予算不足の懸念は多少軽減されたものの、一部の図書館はその機能を拡大し、従来型出版社の事業範囲にまで手を広げようとしています。 これらの図書館は、出版社から受け取ったコンテンツを単に利用者に提供するだけでなく、独自のコンテンツをも作り出そうとしているのです。

例えば、ハーバード・ロー・スクール附属図書館は、アメリカの判例法をすべてデジタル化し、インターネット接続があれば誰でも利用できる大規模で検索可能な法律データベースを構築する計画を先日発表しました。さらに、ほぼ全ての大学が有する技術基盤を利用し、大学図書館はオープンアクセスジャーナルを利用可能にするだけでなく、独自のオープンアクセスジャーナルを創刊することでオープンアクセス化の活動に加わっています。これらの独自のジャーナルの出版は、従来型出版社の事業内容と直接競合します。

これまで大学出版局は、採算がとれる見込みが極めて薄い書籍や資料を出版したいという研究者のニーズに応えてきました。そして、利益を生む必要性に制限されることなく、商業出版社の目には留まらないであろう研究成果にも日の目を見る機会を与えてきました。しかし、ますます多くの大学図書館がデジタルコンテンツを制作し出版社の領域に侵入するようになっています。これは、デジタル化した今日の世界では、競争条件の公平化によって大学図書館が従来型出版社の競合相手になりつつあることを示しています。