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- G.A., シニアエディター

研究成果を論文として学術ジャーナルに掲載することは、研究プロジェクトを進める上でその最終目的とも言えます。しかし、あらゆる要因から、研究プロジェクトが論文発表の日の目を見ないこともあります。ほとんどの研究者にとって、これらは科学の知の蓄積へ貢献する機会を逃したプロジェクトとなります。ところが、2015年11月に創刊される新たなジャーナルが、現時点で出版不可能な研究成果に発表の場を提供することになりそうです。

Research Ideas and Outcomes (RIO)誌のミッションは、研究計画、生データ、方法論、新しいソフトウェアなど、従来の「研究サイクル」の中で発生したあらゆる資料を公開し、他の研究者と共有可能とすることです。RIOの創刊者は、これらが個々の資料としてはあまり価値があるように見えないかもしれないと認識しています。しかし、資料をオープンアクセスで公開することが研究者の業績を認めることに繋がるだけでなく、他の研究者がこれらの資料に簡単にアクセスし、その資料から学び恩恵を受けることが可能になるのです。

オンラインのオープンアクセス誌の成長により、研究者が論文を発表できるジャーナルの選択肢が大きく増加しました。RIOのようなジャーナル創刊の利点は、研究発表が従来通りの論文形式に限られるという発想から研究者を解放し、選択肢をさらに広げる点にあります。

従来とは異なる形式で研究成果を公開することの是非の判断は、このジャーナルが実際に投稿受付を開始し、オンラインでの記事掲載を始めるまで待たなければなりません。しかし、これまで見過ごされてきたような資料が、RIOの創刊によって新たにその価値を見出される機会を得たことは確かです。


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