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- G.A., シニアエディター

オンラインジャーナルの発展により、論文の投稿先としてのジャーナルの選択肢は劇的に広がりました。ところが最近PLOS ONEに発表された研究において、選択肢として多くのジャーナルが存在するものの、大多数の論文は一握りの出版社が扱うジャーナルに掲載されていることが指摘されました。

モントリオールの研究チームは、トムソン・ロイター社の Web of Scienceに収録されている、1973年から2013年にかけて発表された4,500万件の論文を解析し、科学出版界における市場集中の影響を調査しました。その結果、調査対象となった40年間で学術出版の上位5社(エルゼビアワイリー・ブラックウェルシュプリンガーテイラー&フランシス、およびSAGE Publications)が論文出版数の割合を増やし、2013年には半数以上の論文がこれら5社によって出版されていることが明らかになりました。また、集中度が特に高かった社会科学の分野では、論文の実に7割がこれら5つの学術出版社によって出版されていました。

学術出版におけるこのような寡占の状況が良いことか悪いことかは議論の余地のある問題と言えるでしょう。限られた数の出版社の支配という状況の中で研究成果へのアクセスが制限されるのではないか、という見方がある一方、大手出版社同士の競争が革新を招き、読者にとっても費用の削減につながる可能性もあります。学術出版界の将来を期待するにせよ、悲観するにせよ、最大手出版社がわずか数十年の間にその規模と影響力を拡大させてきたという事実を、研究者個々人が認識することは重要ではないでしょうか。


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