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- G.A., シニアエディター

最近複数の出版社でピア・レビューにおける不正が明らかになりましたが、このような事件が起こると、そもそもピア・レビューは現代の科学出版において意図された目的を果たしているのかという疑問が湧くのも当然です。

一般的に、ピア・レビューはジャーナルに投稿された論文に対して質的評価を行うものです。投稿原稿の採否を決める際、ジャーナル編集委員は研究の質、研究結果の信頼性、さらには研究と研究分野およびジャーナルの焦点との関連性についての査読者の評価を基準にします。そのため、査読者のコメントが実際に信頼を置けるものであるかどうかを考慮することが重要になります。

2015年4月、ピア・レビュー・パネルらが助成金申請時の研究計画書を基に研究の質を正確に推測できているかについて評価した研究結果がScience誌に掲載されました。この論文によると、1980年から2008年にかけてアメリカの国立衛生研究所(NIH)から助成金を受給した130,000件の研究のうち、ピア・レビューのスコアが高かった研究ほど論文が採択される確率が高く、その後の引用回数も多く、また関連特許の取得数も多いことが明らかになりました。重要なことには、申請者の学位、キャリア段階、所属機関、過去の論文出版数などで調整を行っても、評価の高かった研究計画はその後も良い研究成果につながっていました。

上記の結果はNIHによって審査され、NIHから助成金を受けた研究に限定されていますが、最近不正行為のニュースばかりが強調されているとはいえ、ピア・レビューがサイエンスコ ミュニティにおいて重要な役割を果たしていることを忘れるべきではありません。ピア・レビューの完全性が守られ、そのシステムが最大限有効に機能するための今後の取り組みが期待されます。


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