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- K. R., エディター

研究情報ネットワーク(Research Information Network)の行った最新の調査によると、OA(オープンアクセス)方式で出版される論文は、購読方式で出版される論文に比べ、閲覧回数は3倍で、被引用回数も上回ることが明らかになりました

この調査では、Nature Communicationsが2010年から2013年に渡って収集したデータを基に分析が行われました。2013年上半期におけるサイト上でのトラフィックを調べたところ、OA論文の閲覧回数が2015回だったのに対して、購読型論文は804回でした。論文のダウンロード回数も、OA論文が904回に対し、購読型論文は399回と、似たような割合が示されました。興味深いことに、OA論文は掲載から3年で次第に減勢していくものの、購読型論文に比べ長期間に渡り優勢を保っていることが分かりました。

被引用数でもOA論文は平均11回の引用があったのに対して、購読型論文は平均7回と、OA方式の方が良い結果を出していることが示されました。ただしNature Communicationsは自然科学分野のあらゆる論文を発行しているため、個々の専門分野に絞った場合には、また別のパターンが見られる可能性もあります。

近年、このようなOA論文と非OA論文を比較する研究が多く実施されています。OAジャーナルは1990年代後半に登場して以来、着実に人気が高まっています。その人気の鍵は、OA論文はより多くの読者の目に触れやすいこと、またそれによって共同研究のチャンスが増えることにあるでしょう。このような圧倒的なアドバンテージによって、Directory of Open Access Journalsに登録されたOAジャーナルの数は2003年の300から現在10,000と、大きく飛躍しました。

購読型ジャーナルの中には、arXiv(アーカイ ブ)などのオープンアクセスプロジェクトに投稿を許しているジャーナルもあります。この場合、論文はまずarXivに投稿され、一般に公開されてフィードバックを受け、その後査読付きの購読型ジャーナルに提出されます。論文は購読型ジャーナルに掲載された時点で引用が可能になります。

研究成果を発表しようと考えている研究者にとって論文の投稿先の選択肢はいくつかありますが、Nature Communicationsの今回の調査によってOA方式で発表する利点が確実に裏付けられました。できるだけ多くの読者に論文を読んでもらいたいと願う科学者にとって、OA方式での出版は第一の選択肢として考慮されるべきではないでしょうか。


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