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- A.S., エディター

ある分野の論文を検索したい時、例えば論文執筆に使う資料や特定の分野の知識を深めるための読み物を見つけたい時に、Google Scholarが非常に有益なツールであることはベテラン研究者によく知られています。中でも Scholar Metricsは特に便利なサービスで、この2014年度版が先月6月末にリリースされました。

Scholar Metricsは、投稿先を決める際の時間短縮に役立ちます。ジャーナル全体で、または特定の分野で最も影響力があるジャーナルはどれかを素早く簡単に見つけることができるのです。Scholar Metricsのメイン・ページでは英文誌の上位100誌が一覧になっており、また日本語を含む英語以外の8言語で出版されたジャーナルの上位100誌を知ることもできます。ジャーナルのランキングはh5-indexと呼ばれる指標によって決められます。h-index(h 指数)とは、「あるジャーナルでそれぞれh回以上引用されている論文がh本以上掲載されているときの最も大きい数値h」とされています。例えば、ある ジャーナルに掲載された6本の論文がそれぞれ18回、11回、7回、7回、7回、6回ずつ引用されたとき、このジャーナルのh-indexは6になります。h5-index(h5指数)も同じ計算方法ですが、過去5年間に出版されたジャーナルのみを取り上げます。あるジャーナルのh5-indexをクリックすると、そのジャーナルで過去5年間に掲載された論文が、被引用数順に表示されます。

Scholar Metricsを使えば、興味のある分野から関連ジャーナルを見つけることも可能です。現在のところ英文誌のみが対象となる機能ですが、ウェブページ左側のサイドナビを展開すると、「医療・医科学」や「物理・数学」など、8分野のカテゴリーのリストが現れます。カテゴリーのひとつをクリックすると、同じようにジャーナルのランキングが表示されますが、選択した分野に限定したランキングを参照することができます。また、「医療・医科学」のうち「外科」や「看護」、「物理・数学」のうち「電磁気学・熱学」などのサブカテゴリーを選択することで、さらに検索結果を絞ることができます。サブカテゴリーでも、その分野のジャーナルのランキングに加えh5-indexが表示され、このh5-indexの数字をクリックすると、そのジャーナルに掲載された論文の被引用数順ランキングを見ることができます。

特定のジャーナル名が頭にある場合は、検索バーにジャーナルタイトルに含まれるキーワードを入力すれば、そのキーワードを含むジャーナルの一覧が現れます。ただし、ジャーナルがScholar Metricsに表示されるためには、一定の基準を満たしていることが条件となることに留意してください。例えば、2009年~2013年の間に100本以上の論文を掲載していることが条件の一つとなります。Scholar Metrics 2014年度版には2009年~2013年に発表された論文が含まれ、2014年6月の時点でGoogle Scholarに索引されたすべての引用情報に基づいてランキングが作成されています。また、論文は最低でも1回は引用されていることが条件となります。

2014年度版Scholar Metricsに含まれる論文はインターネットで入手可能な論文の数にはとても及びませんが、今後拡大していくことが期待されます。いずれにせよ、投稿先を選ぶ上で様々な選択肢を示してくれるという点では有用なツールではないでしょうか。


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