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- G.A., シニアエディター

トムソン・ロイターが提供するインパクトファクター(IF)は、掲載論文の被引用回数の平均を基に計算するもので、学術ジャーナルを評価する指標として現在最も広く認識されています。しかし、科学分野のジャーナルの影響力を測るために開発された指標はIFだけではありません。今回は、IF以外に注目を集めている2つの評価指標を紹介します。

アイゲンファクター(EF)はワシントン大学で開発された評価指標です。EFはウェブを利用した情報理論のアルゴリズムを用いて、学術文献の厖大なネットワークにおける相互関連を数値化します。この指標の目的はジャーナルに掲載された個々の論文の影響力の評価ではなく、ジャーナル全体の影響力を評価することにあります。さらに、IFの評価対象が2年分のデータであるのに対して、EFでは5年分のデータを評価します。また興味深いことに、EFでは学術ジャーナルだけでなく、新聞や雑誌など、科学者以外の読者を対象にした文献も評価に含められます。これにより一般社会における科学研究の影響力を測ることも可能になります。

ライデン大学のCenter for Science & Technology Studiesが科学出版社のエルゼビアと共同で開発した評価指標に「source normalized impact per paper (SNIP)」 があります。IFと同様に、SNIPは掲載論文の被引用回数を基にジャーナルの影響力を評価します。インパクトファクターではどのジャーナルも同じ方法で評価されるのに対して、SNIPは個々のジャーナルの特定の研究分野、さらには各ジャーナルが重きを置くサブカテゴリーをも考慮した上で数値を算出しま す。この情報は、研究者が論文発表に相応しいジャーナルを選択する際に役立ちます。

学術ジャーナルの評価に用いられる指標にはそれぞれ長所と短所があります。そのため、ひとつの評価指標のみを基準にジャーナルの影響力を判断するのは避けたいところです。複数の指標を併用すれば、ある特定のジャーナルの重要性について、より信頼できる評価を入手することができるでしょう。ジャーナルの数が増え続ける中、ジャーナルの 評価指標に対する関心が高まっています。今後、さらに興味深い評価指標が新たに登場する可能性は大いに考えられます。


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