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- G.A., シニアエディター

研究者がある調査研究を完了したら、次に目指すのは研究成果を発表するにふさわしいジャーナルを見つけることでしょう。ジャーナルを見つけ、論文原稿を投稿したら、原稿はピアレビューを受け、編集委員と査読者から必要な修正に関するコメントを受けるというのが通常のプロセスです。その後、論文がアクセプトされて掲載に至れば、これで一連の仕事は完了したと思われるかもしれません。

しかし、科学的知見やデータは、世界中の科学コミュニティによって絶えず再評価される運命にあります。研究に裏打ちされた揺るぎない知見は、これから行われる研究の確かな基盤となって我々の理解を深め、さらに様々な分野で現在行われている研究の方向性にも影響を与えます。しかし、新しい研究によってその正当性が覆される知見や、意義のある結果を導き出せない知見は、他の研究者に引用されることもなく、ゆくゆくは忘れ去られて行くでしょう。

科学コミュニティでは近年、これまでになくインタラクティブな方法で発表済みの研究成果を評価しようという動きがあります。アメリカ国立衛生研究所が運営する生物医学・ライフサイエンス分野の学術文献データベースであるPubMedは、データベースに収載された文献に対して研究者が自由に意見交換できるフォーラムPubMedコモンズを2013年末に立ち上げました。また、PLOSONEのようなオープンアクセスジャーナルは、掲載論文にコメントを付与することを可能にし、論文の閲覧回数、ダウンロード回数、引用回数といったデータを表示しています。

これまで、掲載論文の知見に対して疑問や反論を呈しよう、あるいは他の研究者にとって興味深いであろう別の仮説を提案しようと思う読者にとっての唯一の方法は、ジャーナルに「Letter to the Editor (編集者への手紙)」を投稿することでした。しかし論文掲載とほぼ同時に研究者間で公に議論することが可能になった現在、最新の知見の妥当性を評価する 「論文掲載後レビュー」が重要性を増していることは確かです。


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