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- G.A., シニアエディター

オープンアクセス運動の中核は、できるだけ多くの人が研究成果にアクセスできるようにしようという研究者たちの意図であり、願いでもあります。しかし、科学が真に開かれるためには、情報が読者にただ「届く」だけでなく、世界中のどこにいても分け隔てなく情報を「手に入れる」ことができる状況を作ることが必要になります。

オープンアクセスジャーナルは、購読料や個々の論文の閲覧料を課さない代わりに、著者から論文掲載料を徴収することで、これを制作費にあて、論文を無料で公開しています。インターネット環境が世界的に急速に普及し、且つ無料で論文にアクセスができるようになった今、最新の研究結果を常に把握することは研究者にとって決して難しいことではなくなりました。しかし発展途上国の著者にとっては、オープンアクセスジャーナルの、時に法外な掲載料は、研究成果の発表を妨げかねない深刻な問題にもなり得るのです。

幸いなことに、オープンアクセスジャーナルを発行する多くの出版社は、このような事態に対応するため、出版コストの削減に取り組んでいます。BioMed CentralPLOSといった大手のオープンアクセス出版社は、掲載料が免除される国のリストを公開しています。また同様に、Oxford Journalsのような従来型の商業出版社も、購読料の割引や、手がけるジャーナルへの無料アクセスを提供するなど、発展途上国の研究者の経済的な負担を減らす対策を実行に移しています。

研究活動には費用がつきものです。しかし、ジャーナル購読料や掲載料といった研究発表の負担に対する認識が高まるにつれ、発展途上国の研究者が限られた予算を有効に使える機会も増えつつあるのではないでしょうか。


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