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- G.A., シニアエディター

学術出版界では、読者が購読料を支払う従来型のジャーナルが今でも主流ですが、オープンアクセス誌も発行数を着実に伸ばしています。研究成果をオープンアクセス誌で発表するように促す研究費助成機関も増えており、著作権やオープンアクセスにまつわる問題は、研究者にとって無視できない課題となりつつあります。 いずれにせよ、ここ数年における学術出版状況の急激な変化が、従来型の商業出版社にも大きな影響を与えていることは確かです。

そのような影響の一例として、大手学術出版社のエルゼビアが学術系ソーシャルネットワークAcademeia.eduの複数の会員に対し、論文共有サイトに掲載した自身の論文を撤去するよう催告したケースが挙げられます。撤去の催告を受けた論文はエルゼビア発行のジャーナルに掲載されている論文で、著者とAcademeia.eduはエルゼビアの要求を受け入れましたが、学界やオープンアクセス出版の支持者からは、エルゼビアに対して批判の声が上がりました。これに応える形で、エルゼビアは現在年間購読ベースのジャーナル7誌を2014年1月1日よりオープンアクセス化すると発表し、さらにウェブサイトでは、エルゼビアはオープンアクセスという出版モデルを支持し、その発展に注力するとのメッセージを打ち出しています。

学術界でオープンアクセス出版を受け入れる準備が整うにつれ、研究者と出版社との間のこのような攻防が続くことは想像に難くありません。しかし見方を変えれば、出版社が既存のジャーナルをオープンアクセス誌として無償公開する積極的な動きを見せていることは歓迎されるべきでしょう。これはつまり、デジタル化という時代の流れの中、商業出版社もまたオープンアクセス出版の重要性を認識していることに他なりません。


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