特集記事

論文の盗用―ジャーナルはどのような対策を講じているのか?



- G.A. シニアエディター

学術ジャーナルの数は、過去数十年で劇的に伸びています。今日、研究者たちが利用できる情報量が以前より増えていることから、学術ジャーナルの編集者たちの間で盗用に対する懸念がますます高まっています。

盗用とは、参考文献の引用という形で原著者の名前を提示せずに、他人の着想や言葉を自分のものとして使用することです。 極端なケースでは、ある科学者が、 実際には別の研究者が行った実験を、自分でやったと主張する場合があります。もっと一般的なケースでは、著者が意図せずに盗用してしまうことがあります。 これは著者が着想点を「会得」せず、自分の言葉に言い換えないで他人の研究の表現や文章や段落をそのまま取り入れてしまう場合です。

多くのジャーナル、さらには出版コングロマリット全体が、盗用された文章を含む論文原稿を出版前に見つけ出すために多種多様な対策を講じています。では、どのような手段が取られているのかを見てみましょう。

現在、ジャーナルでは、研究内容が過去に出版されたことがあるかどうかを明示するよう、著者に指示するのが通例となっています。投稿した論文原稿が独自のものであることを投稿用紙に言明させ、署名させた上で提出させるジャーナルも多いのです。したがって、カバーレターに必要なコメントを盛りこみ、提出を求められた投稿用紙をきちんと仕上げるために、「投稿規程」に注意深く目を通さなければなりません。

技術の進歩により、ジャーナルの編集者は、電子的にすべての提出原稿をスキャンし、専門のデータベースと比較することができます。スキャンの結果、著者とは別のソースからコピーされた文章が見つかった場合、編集者は論文の投稿を直ちにリジェクトすることもあれば、著者に連絡を取り、そのコピー行為が意図的なものかどうかを確かめることもあります。なかには、警告として、これらの スキャン結果を著者に戻す場合もあります。その場合、具体的にどの文章がコピーされたものか、そのコピー文章の出典はなにかをハイライト表示した形で返されます。

盗用に対する関心は現在も増えつつあります。そのため、論文原稿は完全に独自のものとし、必要な参考文献の引用情報はすべて本文中に盛りこむことが大切です。 うっかりと、意図せずして盗用してしまう可能性を減らすには、原稿のなかで参照する着想や発見を、自分自身の言葉で表現するという方法が効果的です。その後、投稿に先立ち、論文原稿を英語ネイティブの校正者に校正してもらい、文章が掲載を希望するジャーナルの基準を確実に満たすようにしてください。