特集記事

- G.A., シニアエディター

ピア・レビューは、科学的なプロセスで根本となる部分の一つです。ピア・レビューの目的の1つは、不備のある研究や倫理に反する研究を公開前に特定することです。 しかし、査読者は人間であるため、微妙でありながら重大な原稿の問題が見過ごされる可能性があり、そのような問題が残ったまま原稿が掲載されることは最も権威のあるジャーナルでさえ起り得ることです。

この限界を踏まえて、原稿をスキャンすることにより想定される問題を特定できるソフトウェアの力を利用しようとしている研究者もいます。2016年、統計的な誤りを検出するソフトウェアを使用して発表されている心理学の原稿をスキャンしたところ、原稿全体の半数で統計的検定に関する問題が特定されました。

また、今年に入って、2人の科学者があるプログラムを開発しました。このプログラムは、発表された原稿で報告されている遺伝子配列をスキャンすることでエラーを特定できるものです。まだベータテストの段階ですが、Seek & Blastnと名付けられたこのソフトウェアは、少なくとも60本の腫瘍学の原稿で既に問題を特定しています

発表した原稿に対するソフトウェアを利用したレビューの結果に動揺している科学者もいますが、原稿の微妙な科学的不備を発見する能力において、技術的な方法が人間の目より優れているのは明らかです。統計的な問題や遺伝子配列に関する問題の指摘により著者に恥をかかせてしまう事態を避けるため、不備がある可能性のある原稿がジャーナルに投稿される前にこれらの誤りを発見するソフトウェア・ツールをすべての科学者が利用できるようになることを期待しましょう。

英語版はこちら