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- A.P., エディター

科学研究と出版論文の客観性・公正性・透明性を確保するため、多くのジャーナルでは、著者に対して論文内に利益相反に関する情報を明記するか、論文投稿時に利益相反開示フォームを一緒に提出することを求めています。 研究活動に関して金銭的な利害関係やその他の利益相反が存在し、研究結果にバイアスが生じる可能性がある場合は、事前申告を義務付け、この手続きが終わるまでは査読者に論文を送らないジャーナルもあります。利益相反を申告することは、著者としての責任の中で非常に重要なものなのです。最近では、申告すべき利益相反がない場合でも、査読前に著者全員の利益相反の申告と開示を行うように求めるジャーナルが増えており、必要な手続きをしないと、査読を行わずに論文が返却される可能性が高いです。投稿予定のジャーナルが特定のフォームで開示を義務付ける場合、論文の著者全員がそのフォームに署名するにはそれなりに時間がかかります。全員が署名したものを提出するまで論文は査読に回されないため、フォームの提出が遅れると査読も遅れることになります。

利益相反とは一体どのような状態を指すのでしょうか。出版倫理委員会が作成した「適正な出版手続きに関するガイドライン」(2003年版)によると、もし論文出版後に明らかになれば読み手が裏切られたと感じる可能性があるような利害関係を著者が持っている場合は、利益相反が生じていることになります。

例えば、給与や研究用機器・消耗品の提供など、研究に対する経済的・物質的援助を受けていれば、利益相反の関係にあります。論文の出版から利益を得る可能性のある組織や企業が、著者にとって過去または現在の雇用主であるか、雇用予定先である場合も、利益相反の状態にあるとみなされる場合があります。また、論文の出版によって何らかの影響を受ける可能性のある企業の株式を所有していたり、論文で報告する研究に関連した特許や著作権を保有している場合も、利益相反と判断されることがあります。ただし、利益相反が生じているからといって、ジャーナルに論文をリジェクトされるわけではありません。重要なのは、出版倫理に基づいて利益相反状態を正しく申告することです。

投稿予定のジャーナルが論文内での利益相反申告を求める場合、ジャーナルのガイドラインに従って、適切な箇所に申告内容を記載してください。以下は申告の文例です:

• A博士は、本研究に財政的援助を行ったABC社のコンサルタントを務めています。
• ABは、ABC製薬会社からX会合での講演の謝礼を受け取り、同社の株式を保有しています。
• B博士は、本研究に物資的援助を行ったABC社の共同所有者です。

利益相反がない場合は、次のように申告するとよいでしょう:

• 本論文の著者には、論文の内容に直接関連する利益相反はありません。
• 本論文の著者は、利益相反がないことを宣言します。

ジャーナルによっては、連絡著者が開示フォームに申告内容を記入し、著者全員が署名しなければなりません。このプロセスには時間がかかりがちです。著者の数が多い場合は、論文と一緒にフォームを準備しておくとスムーズにいきます。医学雑誌編集者国際委員会が作成した利益相反を開示するための統一書式は開示フォームの良い手本であり、利益相反についてどのような情報を開示すればよいかわからないときは非常に役立ちます。

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