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- A.P., エディター

論文の査読や出版の遅れを防ぐ最も簡単な方法の一つは、論文提出時に必要なセクションをすべて記入し、必要なステートメントを含めることです。こうした必要事項はたいてい、ジャーナルの投稿規定に記載されています。 必要事項の記入やステートメントの準備なんて当たり前と思うかもしれませんが、動物やヒトを対象とする研究報告書に含むべき研究倫理ステートメントを正しく選んでいない、または適切な文言で作成していない論文は意外にも多いのです。ジャーナルの編集部では投稿論文の内容がそのジャーナルにふさわしいかという点だけでなく、不備がないかどうかという点もチェックしており、必要な研究倫理ステートメントが含まれていない場合は査読を行わずに論文を著者に返却します。つまり、論文作成時からどんなステートメントが必要なのか把握しておき、準備しておけば、査読の遅れを防ぐことができ、ひいては受理された論文の出版の遅れを防ぐことにつながるのです。

論文に添付すべきステートメントとは具体的にはどのようなものなのでしょうか。動物を使用する研究では、原則として、研究実施機関の動物実験委員会またはそれに相当する倫理委員会の承認を受けていることを明記したステートメントが必要です。このステートメントには当該委員会の名称、およびその研究の承認番号がある場合はその番号を記入しなければなりません。また、多くのジャーナルは著者に、英国NC3Rs (National Centre for the Replacement, Refinement & Reduction of Animals in Research)が策定したARRIVEガイドライン(Animal Research: Reporting of In Vivo Experiments: ARRIVE)に準拠するよう勧めています。

以下は動物を使用する研究に必要な倫理ステートメントの例です: 「本研究はピッツバーグ大学動物実験委員会の承認を受け、同委員会の定めるガイドラインに従って実施されました (承認番号123X456) 。」

ヒトを対象とする研究には、研究実施機関の審査委員会またはそれに相当する倫理委員会の承認を受けたこと、およびヘルシンキ宣言の原則に従って研究を実施したことを明記したステートメントを添付する必要があります。被験者からインフォームドコンセントを得ていることを明記したステートメントも必要です。

以下はヒトを対象とした研究に必要な倫理ステートメントの例です: 「本研究のプロトコルはハーバード大学倫理委員会の承認を受けています。同委員会は本研究のデザインがヘルシンキ宣言 (2004年改正) に準拠していることを確認しました。本研究の実施に先立ち、すべての被験者から書面でインフォームドコンセントを得ました。」

動物またはヒトを対象とした研究を行う場合は、研究実施機関の該当するガイドラインを必ず確認してください。所属機関の審査委員会または倫理委員会から必要な承認を受け、論文に適切なステートメントを忘れずに含めてください。また、論文作成時にジャーナルの投稿規定を確認し、必要かつ適切な文言のステートメントを投稿時に必ず添付してください。こうしたからといって査読が早く終わるわけではありませんが、少なくとも不要な遅れだけは避けることができるでしょう。

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