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- G.A., シニアエディター

現代のビジネス界におけるキーワードは、「破壊的イノベーション」です。一例を挙げると、デジタル写真の導入と普及は写真フィルムの製造業者に打撃を与え、かつては世界屈指の有力企業であったイーストマン・コダック社を倒産へと追い込みました。どのような産業においても、新規企業がテクノロジーを有効活用して最大手の企業から市場シェアを奪おうと試みる一方で、既存企業は革新的なスタートアップ企業の脅威から身を守る方法を必死に探しているようです。

学術研究そのものはビジネスとして機能するわけではありません。しかし、学術出版業界は非常に競争が激しいだけでなく、破壊的イノベーションの危機にも直面しています。オンライン・ジャーナルの普及やオープンアクセス化への動きによって、既に多少の破壊が起こっている一方で、ある創始者グループはブロックチェーン新規仮想通貨を利用した新しい出版モデルを導入しようとしています。

Orviumのウェブサイト上に公開されている白書には、創始者たちの動機や計画が示されています。白書の中で言及されている学術雑誌の問題点(スピード、コスト、査読など)は、学術出版を経験したことのある人であれば誰もが知るところですが、白書には「トークン(代用貨幣)」「脱中央集権化」「本人認証」という、ユニークな視点も示されています。

学術出版市場の規模(科学、技術、医学の分野だけで年間230億ドルを超えると予測されています)を考慮すると、学術出版市場は破壊のターゲットになります。既存企業が市場シェアを守ることができるか、それともOrviumのような革新的なスタートアップ企業が強みを武器に形勢を逆転するのか分かるまでには、もう少し見守る必要がありそうです。

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