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- G.A., シニアエディター

2012年、英国政府はリサーチ・カウンシルUK、国立衛生研究所、ウェルカム・トラストなどの機関と「研究公正を支援する協定」を公表しました。同協定では、専門性、倫理、法令に基づく研究を確実に行うための国家的な枠組みが示されています。

2018年7月、英国下院科学技術委員会は、英国全土の研究機関が協定に定める研究ガイドラインをどの程度遵守しているか調査を行い、詳細な報告書を公表しました。残念なことに、推奨されていた研究公正に関する年次報告書の作成を行っていない大学が全体の約4分の1を占めていることが明らかとなりました。

現在のところ、「研究公正を支援する協定」で推奨されている取り組みを実施しなくても大事には至りません。そのため英国下院科学技術委員会は、不正行為の申し立てに対して十分な調査を行わない研究機関に研究助成金の返還を求める権限をUKリサーチ・イノベーション(UKRI:英国政府の研究資金配分機関)に与えるべきだと提言しています。

倫理基準に反して行われている科学研究はごくわずかですが、科学者や一般市民が発表された研究の公正さを信頼できるということは極めて重要です。よって、「研究資金の助成と研究公正を関連付ける」という委員会の提案は検討に値するものです。今回の報告書を受けて行われる意思決定は、科学研究の公正性をモニタリングし、向上させる取り組みにおいては一歩前進したのみと捉えるべきです。

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