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- G.A., シニアエディター

2019年が始まったばかりですが、ヨーロッパの科学者たちや世界の学術雑誌の出版社は、すでに2020年の1月1日を見据えています。この日付はヨーロッパの研究助成機関連合が設定したもので、これを境に、連合加盟機関の助成を受けた研究についてはその成果を発表する場所に厳しい制限が設けられるようになります。

プランS」と呼ばれるこの計画は、公的助成を受けた研究の成果を完全なオープンアクセス(インターネットを通じて誰もが無料で閲覧できる)ジャーナルやプラットフォームで発表することを求めるものです。科学者個人にオープンアクセス形式で発表することを求めていた従来のやり方に対して、「プランS」のアプローチは意欲的で、掲載ジャーナルそのものが完全にオープンアクセスであることを求めています。このような提案は、旧来の購読料を前提とするモデルで運営され、著者が依頼した論文だけをオープンアクセスにする、いわゆるハイブリッドジャーナルに対する脅威となります。

現在の出版状況において「プランS」を実行することがいかに難しいかは、オープンアクセスの支持者でさえ認めるところです。実際、「プランS」によってジャーナル全体の約85%に研究者が成果を発表できなくなることが予想されています。

現在のところ、ヨーロッパの11の助成機関が「プランS」への参加を表明していますが、今年中にその数が増えるかどうかはまだ不透明です。今後「プランS」がどれほど広く受け入れられるか、あるいは実行されるかにかかわらず、プランへの参加を表明した機関が示す断固たる姿勢をみると、オープンアクセスは助成機関にとって大きな関心事項であり続けると思われます。

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