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- G.A., シニアエディター

学術誌購読料の高騰には、トップレベルの学術機関でさえも負担を感じています。世界クラスの図書館を維持するうえで生じる財政問題に対処し、オープンアクセスの拡大を出版社に促すために、一部の学術機関は、大手出版社が発行する学術誌の購読打ち切りも辞さない姿勢を示してきました。

今年初め、カリフォルニア大学は、エルゼビアが発行する学術誌の購読を中止する決定を下しました。これを受けてエルゼビアの親会社であるREXL株価が急落し、研究機関が学術出版ビジネスに与える影響力が示されました。

他の有力研究機関が大手出版社との購読契約を打ち切るかどうかは現時点では不明です。一方エルゼビアは、これ以上損失が拡大することを防ぐため、ノルウェーで試験的な契約を締結しました。ナショナルライセンスというこの契約は、ノルウェー国内の大学と研究機関にエルゼビアが発行する学術誌へのアクセスを認めるとともに、ノルウェーの研究者が研究成果をオープンアクセスで出版できるようにするものです。

この2年間の試験的なライセンスがうまくいけば、他の国立研究機関と同様の契約を結ぶ大手出版社が他にも現れる可能性があります。このようなライセンス契約は、大手出版社に引き続き学術誌からの経済的利益をもたらす一方で、オープンアクセスによってより多くの読者に研究成果を伝えたいと考える科学者のニーズにも応えるものになるかもしれません。

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