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- G.A., シニアエディター

科学研究結果の重要度は、その研究結果が科学界に与えるインパクトの点から考慮されるのが一般的です。インパクト自体はやや曖昧な概念であるため、科学者はインパクトを測定する基準として被引用数を頼りにします。学術誌のインパクトファクターは、掲載された論文の被引用数に基づいており、著者は掲載された論文が引用された総数を追跡することができます

引用に関するデータが科学界で担う重要性にもかかわらず、これまで自己引用率についての調査は実施されてきませんでした。しかし、2019年8月、研究者らはある調査の結果をPLOS Biologyに発表しました。その調査では、出版社や個人の研究者が利用するその引用数指標を徹底的に分析しました。

さまざまな科学分野で最も引用数が多かった著者10万人を分析した結果、研究者らは自己引用率の中央値が12.7%であることを明らかにしました。その一方で、小グループの著者らが互いの論文において非常に高い被引用数の割合を占める「極端な自己引用」の事例も突き止めました。

自己引用を禁止する規則はなく、非常に高度な専門分野では自己引用が不可欠なことも多くありますが、科学者はこの問題とその乱用の可能性について認識することが重要です。今回の調査結果は、科学界が引用数指標の利用を改善する一助になると思われ、そして、引用数指標の乱用を防ぐと期待したいところです。

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