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- G.A., シニアエディター

2021年2月のエディターの視点で報告したように、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックと闘うため、プレプリントをオンラインで閲覧できるようにし、出版前に研究を共有することが研究者に奨励されています。

歴史的に、多くの出版社は、ジャーナルに投稿し査読を受ける前に著者が研究のプレプリントを公開することを妨げ、禁止さえしていました。しかし、COVID-19のパンデミックの中、有効な治療法と安全なワクチンを迅速に開発する重要性に後押しされて、多くのジャーナルと出版社は、出版前に研究結果を公開することを著者に積極的に奨励するようになりました。

こうした奨励や、関連するジャーナルの方針変更のもたらす影響を明らかにするため、シュプリンガー・ネイチャーリサーチゲートのユーザー1,400人を対象に、プレプリントの利用状況と読みたいと思う論文の形態について調査を実施しました。シュプリンガー・ネイチャーは調査結果を掲載したホワイトペーパーの中で、研究者は読むのも引用するのも出版論文の方を圧倒的に好むと報告しています。回答者らはプレプリントをすぐ利用できることに価値を認めつつも、査読を受けた論文の方が評価しやすいと述べています。

プレプリントの人気とその共有を認める出版社の積極的な取り組みは今もなお拡大していますが、ベテラン科学者が出版論文の方をより安心して読むことは理解できます。研究結果の出版に査読が果たす重要な役割を考えれば、読者の好みという点において、出版論文をプレプリントが追い抜くことはないだろうと考えられます。しかし、今後プレプリントの利用に変化が生じるならば、それがCOVID-19のパンデミックの長期的な影響によるものであることは間違いないでしょう。

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