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- C.C.,エディター

以前のニュースレターで、オーディオおよびビジュアルコンテンツの活用が学術出版にもたらすメリットを取り上げました。インターネットトラフィックの大部分が動画コンテンツであることを考えると、ビジュアルコンテンツの活用によってエンゲージメントが高まるのは当然のことといえます。 今回のニュースレターでは、ビデオアブストラクトからの自然な流れであるビデオジャーナルについて考察します。

ビデオジャーナルの草分けとなったJournal of Visualized Experiments(JoVE)は、2006年にオープンアクセスの査読付き学術誌として創刊され、動画による実験方法の公開を専門としています。JoVEの出版プロセスによると、投稿論文は受理後に公開され、その後JoVEから派遣されるプロのカメラマンによって実験手技の動画が撮影されるそうです(動画は自分で制作することも可能です)。

JoVEなどの査読付きビデオジャーナルは、既存の出版慣行に挑みつつ、代替メディア形式を主流に押し上げる大きな可能性を秘めていると、ある研究者は述べています

具体的には、時代とともに複雑化している実験手法の再現性向上に、JoVEのような出版物が大きな変化をもたらす可能性があると研究者らは主張しています。従来の出版パラダイムは何百年も前に誕生したものであり、今日の研究者の現代的で高度な技術的ニーズにはもはや対応していないという共通認識が高まっています。

最後に、資金確保の難しさを考慮すると、多くの科学者やその所属機関はビデオジャーナルを利用することで生産性の向上だけでなく、コストの削減も期待できるのは心強いことかもしれません。ケーススタディを取り上げたある報告書は、最大4万ドル節約できることを明らかにしています。物理的に離れた研究所間の知識の伝達が効率的に行われることで旅費と研修費および時間が節約できるようになり、コスト削減が実現すると考えられています。

学術界が新しいパラダイムを導入するのに時間がかかることはよく知られていますが、ビデオジャーナルの有用性に対する認識が高まれば、全世界にわたり研究者間で重要な知識が伝達される新しい時代が訪れる可能性があります。

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