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- A.P., エディター

皆さんが論文を投稿すると、ジャーナルの編集者は充分な数の適任の査読者を探す作業に取り掛かります。しかし、進んで査読を引き受けてくれる人を探し出すのは容易ではなく、その結果査読に長い時間がかかり、受理された論文の出版が遅れてしまう場合もあります。 候補者を見つけて査読を依頼しても、断られることや、全く返事が無いこともあります。そのため編集者は、2人か3人は引き受けてくれるだろうという見込みで、最初から10人程度の査読者候補に依頼をしたりします。査読依頼数に関するある調べでは、1論文につき平均で4人近くの査読者候補が査読依頼を辞退することが明らかになり、返信そのものをしない候補者もたくさんいることが分かりました。望ましい人数の査読者を確保できない場合、編集者は他の候補者を探すことになり、皆さんの論文に対する待望の最終決定は遅れてしまいます。

このような時、論文の主題領域の専門家リストが論文と一緒に提出されていると編集者は大いに助かりますし、査読期間の短縮にも役立ちます。しかし、推薦査読者の選出は投稿プロセスの中でも難しい部分であり、慎重でなければなりません。なぜなら、その人たちは皆さんの論文を受理またはリジェクトするように編集者に助言することになるかもしれないからです。

それでは誰を「推薦査読者」に指名すべきでしょうか? 投稿論文に対して建設的なフィードバックを提供し、バランスのとれた査読を行う人や、ミスや曖昧な点を指摘するだけでなく、論文の質を高めるためのアドバイスをくれる人を選ぶとよいでしょう。まずは文献リストを確認することから始めてみてください。リストから査読者候補になりそうな人を探し、同僚や共著者と一緒に各候補が適任かどうかを検討してください。多くのジャーナルは、幅広い読者層や世界中の読者にアピールする論文を掲載したいと考えているので、特定の地域の査読者に偏ったり、狭い分野の専門家に偏ったりしないように注意してください。ひとつ覚えておくべきことは、推薦査読者のリストはあくまでも提案であり、編集者はその査読者を選ぶ必要はないことです。それでも、推薦査読者のリストは編集者にとって候補者探しの手がかりになりますし、候補者探しの時間が短縮されれば査読のスピードアップにつながります。

推薦査読者のリストを作成するときは、実際に、または潜在的に利益相反の関係にある人が含まれないようにする必要があります。これには自分または共著者と同じ機関に所属する人、最近の論文の共著者などが含まれます。

最後にもうひとつ重要なことは、どうしてその人を選んだか理由を説明することです。候補者の氏名や連絡先が書いてあっても理由がなければ、その人が適任なのかどうか編集者には判断しづらいものです。オンライン投稿システムに理由の記入欄がない場合は、カバーレターの中で自分が推薦する査読者が適任である理由を編集者に簡単に説明するとよいでしょう。1〜2文で構いません。例えば、こんな感じです。「以下に挙げる方々は、[研究分野・領域を挿入] 分野の指導的研究者であり、本論文の査読に必要な[論文のテーマを挿入]あるいは[研究で用いた技術やアプローチを挿入] の専門知識を持っています。」

次に論文を投稿するときは、ぜひ推薦査読者のリストを作成して一緒に提出してみてください。リストがあれば担当編集者の役に立つだけでなく、査読そのもののスピードアップにもつながります。

来月の記事(中編)では、論文の出版が遅れる原因について更に考えてみたいと思います。

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