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- G.A., シニアエディター

2012年、1月のエディターの視点に掲載したとおり、「プランS」は2020年1月1日に始動すると決まっていました。プランSとは、公的助成を受けた研究者が、自身の研究成果を発表することができる場を限定することを目的に、欧州の主要な助成機関が立ち上げた取り組みです。

2019年6月、公的および民間の19の研究助成機関が、プランSの実施を1年間遅らせることに合意したと発表されました。助成機関連合は、改定されたガイドラインの中でプランSの実施の延期について発表するとともに、従来型の購読料ベースの出版社がオープンアクセスへ移行することができる契約について詳細を明らかにしました。

しかし、出版社と一部の研究者の双方は依然として、1年間遅らせたとしてもなお、プランSの実施は性急であるとの懸念を抱いています。さらに複数の研究者が、プランSは英国および欧州の国の研究者のみを対象としているため限定的なものになっているとの指摘を続けています。

実施が延期され、一部のガイドラインが修正されましたが、プランSが依然として、従来型のハイブリッドジャーナル(購読料を収集し、依頼があった場合のみオープンアクセスとするジャーナル)の脅威であることには変わりありません。今回の延期は、主要出版社が、プランSに従いつつも自社のジャーナルを経済的に存続させる、新たなビジネスモデルの開発に難航したことが原因となった可能性があります。この延期により、研究者の懸念に対応する時間が助成機関に与えられることが期待されます。

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