特集記事

エディターの視点

英語査読コメントへの対処法:「3つのR」を極める - フォルテ英文校正

英語査読コメントへの対処法:「3つのR」を極める


- G.A., シニアエディター

投稿論文が受理されると、編集委員はその論文がジャーナルにふさわしいものかどうかを見極めます。そしてふさわしいと判断された学術論文は、採択に値するかどうかの評価を受けるべく、ピア・レビューでふるいにかけられます。運よく論文がこの査読プロセスまで進められた著者は、今度はジャーナルの編集委員から送られてくる英語査読コメントへの回答という難題に立ち向かうことになります。 英語論文が審査を経て戻ってきたら、今回ご紹介する「3つのR」を念頭に置いて回答を準備すると良いでしょう。英語論文採択のチャンスを少しでも確実なものにできるはずです。

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論文発表:オープンアクセスという選択肢

- G.A., シニアエディター

インターネット時代の到来によって、学術ジャーナルや学術出版社もその運営方法を大きく変えることになりました。論文出版プロセスのスピードが加速する一方、出版物にアクセスが可能な地域は世界中に広まりつつあります。 学術出版界で今盛んに論じられている課題のひとつとして、出版物へのアクセスがあります。

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オープンアクセスジャーナル時代を迎えて:著作権の対処方法

- G.A., シニアエディター

オープンアクセスジャーナルへの投稿者数が増え続けると同時に、その発行数も伸びる一方です。原稿の投稿準備において、研究者が著作権に関するルールをしっかり押さえておくことは必須と言えましょう。今回は、著作権が科学論文の著者に与える影響を概観します。

データの蓄積抜きに科学的方法を語ることはできません。著者が他の研究者のデータに言及する際には必ず原典を明らかにすることになっています。ところが、通常の方法で引用するだけでは十分でないというケースもあるのです。

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査読者から英語の質を批判されました。対処法は?査読者コメントの本意を見極め、リバイズ後のブラッシュアップした論文原稿を再提出

査読者から英語の質を批判されました。対処法は?


- C.G., シニアエディター

日本人著者が国際的なジャーナルに研究論文を投稿するプロセスにおいてしばしば直面する困難があります。査読者から論文受理の条件として英語の表現や語法を改善するように指摘されるケースです。ところがその論文を投稿する前にすでにネイティブスピーカーに校正してもらっていたら、それは著者にとって混乱や不満の元となるばかりではなく、ネイティブ校正者の能力までをも疑いたくなる状況と言えるのではないでしょうか。 しかし実際には、英文校正の質とは直接関係のない理由によってジャーナルの査読者や編集者が英語のレベルについて批判的なコメントをすることがよくあるのです。査読者が批判的なコメントをするその本意を見極めることによって、論文をリバイズする際に査読者への適切な返答を用意することができます。

英語について批判的なコメントがされる一番の理由として、英語圏外の国からの投稿論文には必ず英文校正を推薦することを方針とするジャーナルがあることが挙げられます。ジャーナルがそのような方針をとっているかどうかを探る手がかりとしては、レビューがチェックリストの形式をとっているものや、「英語を母国語とする校正者によって文章を添削・校正してもらう必要がある」などという定型文が挿入されたコメントが戻ってきた場合です。そのようなコメントはあなたの英作文能力に対する批判として捉えるよりも、論文改訂の際にはネイティブスピーカーの支援を求めるべきだという査読者からのヒントとして受け止めましょう。

査読者が論文の英語の質に関して批判的なコメントをするもうひとつの要因として、査読者自身がネイティブスピーカーでない場合があることが挙げられるでしょう。査読者のコメントが文法的に間違っていたり分かりにくかったりしたら、査読者がネイティブスピーカーでないことが察せられます。論文の英語に文法的な誤りがなくても、英語を母国語としない査読者にとっては長い文章や文法的に複雑な構文は難解なものかもしれません。このような状況での容易な解決策として、 論文を再提出する前に、英語圏のネイティブの校正者に文体を分かりやすいものに書き直してもらうことをお薦めします。

稀に、査読者が英語のネイティブスピーカーであったとしても、あなたの論文の英語は「質が低い」「改善が必要」といった固定観念を持つことがあります。しかしこのような場合、査読者は文法的な誤りや改善が必要な部分を具体的に示すことができないため、あなたの論文の語法のどこが査読者の気に入らなかったのかを見極めるのは容易ではありません。ほとんどの場合このような批判的なコメントは、英文校正の問題というよりは、査読者の特定の文体の好みの問題であることが多いのです。例えば受動態より能動態を好む査読者がいれば、論文で著者自身に言及するときに「私(I)」や「私たち(we)」など一人称を使用することを敬遠する査読者もいます。査読者から具体的なフィードバックを受けなかったとしても、重要なことは、査読者からの指摘を受けてあなたが真摯に問題に取り組んだことを印象づけることです。大抵の場合、論文全体に渡って小さな修正を加えるだけでも良いのです。そのように小さな修正を加えることで論文全体の雰囲気やイメージを新たにすることができるでしょう。論文そのものを本質的に変更することなく、査読者を納得させることは可能なのです。

自分の論文の英語の質について批判的な意見を受けるのは気持ちの良いものではありません。不本意なこともあるでしょう。批判的なコメントの裏にある本当の理由を知ることによって、有効な対策を講ずることができるのです。またこれによってさらに査読のポジティブな側面に目を向けることができるでしょう。論文のリバイズと再提出を査読者が推薦しているということは、それはあなたの研究が発表に値する重要なものだと判断されたことに他なりません。査読者の批判的なコメントに自信を失くさないでください。これはあなたの論文を向上させるチャンスであり、査読のプロセスの理解を深める絶好の機会なのです。